茜色の星
それは赤から黒に変わるころ
夕方でもなく夜でもない
紅から黒に変わるころ
それはそれはきれいな空を見つけました。
※ARIAの小説です。
初めて版権で書いた小説なので、色々変なところがございますが、生ぬるい目で見てやってくだされ。
一応灯里視点の物語です。
「ふぅ・・風が気持ちいいですねぇ、アリア社長。」
「ぶいにゅっ!」
ここはネオヴェネチアの一角
今日はアリア社長と二人だけでゴンドラの練習です。
「いつもありがとうございます。練習付き合ってもらってばっかりですね・・。」
「ぷぷいっ!」
ピースサインをするアリア社長。
(ふふっ、アリア社長は元気だなぁ〜)
そんなアリア社長を見て灯里は微笑んだ。
そういえば・・
考えてみれば藍華ちゃんもアリスちゃんも居ない練習なんて久しぶりだなぁ。
いつも一緒にいたから気づかなかったよ。
だからかなぁ?
なんだかすごく時間がゆっくりに感じる・・
「は〜風が気持ちいいです。」
波が静かに音を立ててかぜがほほを伝う感触にそっと目を閉じる。
でももうそろそろ帰らないといけないなぁ・・
時計塔の時刻は5時半を過ぎている。
もうそろそろ日が落ちてゆく時間。
でももうちょっといたいなぁ・・
そんな事を考えながら小さな路地を曲がる。
「ぷぷいっ!!」
「どうしたんですか?アリア社長。」
アリア社長の声気づきぐるりとあたりを見渡せば
「あれっ?・・ここ・・どこでしょう・・?」
道・・間違えた・・?
「どっどうしましょう!アリア社長!」
「ぶっぶいにゅ・・。」
道に迷っちゃった・・
どうしよう・・戻った方がいいかな・・
でも・・
「とりあえず進んでみましょう!」
大きな道からだんだんと小道に続いていき家と家の狭い間を慎重に進みながら
道を探しているとすこし開けた場所に出た。
「はひーっ・・ここ小道ばっかりですね・・。」
中々出口が見つからず少し疲れと出られなくなったら・・なんて不安がでてきていた。
少し休もうかな・・
そう思いとめるところを探すため少しゴンドラを進めると
そこには一見廃墟のようなところでドーム上になっていて天井には屋根がない
木と木で支えられている所でそこの中心には光が差し込んでいて
なんとも不思議な空間。
風がゆっくりと吹いてまるでここだけ時の流れ方が違うかのような・・
その光が差し込んでいるところまで進んでみると
「ほえっ?」
そこには茜色に染まった空に薄く夜の色がかさなって、その中に
きらきらと茜に染まって輝く星・・
「きれい・・」
茜色の中に輝く星はいつも見る星とは違い淡々しく光っていた。
「まるで宝石みたいです・・。」
「ぶいにゅっ!」
「背伸びをしたら手が届いちゃいそう・・。」
そっと腕をを伸ばして背伸びをしてみる。
けれどやっぱり手が届く事はなく
「やっぱ無理ですよね~・・。」
ちょっと残念と少し落ち込む。
でも
「ホントにきれい・・」
藍華ちゃんとアリスちゃんにも見せたかったなぁ・・
だってこんなにきれいなんだもん。
そう思いながらもう一度。
今度は空をカメラで取るように手を動かす。
「見てくださいっアリア社長!」
「ぷいっ?」
「星を捕まえちゃいましたっ」
手と手で囲われた四角の中に茜色の星がきらきらと光る。
本当に手に入れたわけではないけれど・・
「なんだかうれしくなっちゃいますね。」
ようやく時が動いたように風が吹いて・・
さらさら・・と髪をなでる。
さっきとは違いぶるっと体が震えた。
「ちょっと冷えてきましたね・・」
「ぶい・・」
「そろそろ帰りましょうか」
「ぶいっ」
でも帰り道が解らない・・とりあえず辺りを見回してみると
ウォールが何かに当たって
ぽちゃんっと何かが水に落ちる音
ふっと音がした方を覗いてみると
「あっ・・これって・・」
そこには水に浸かりすぎて朽ちてしまった木が崩れ
木と木の間に小さな道が。
その先にはいつもの見慣れた光景。
「こんなところに繫がってたんですね・・。」
灯里とアリア社長は顔を見合わせ
「帰りましょうか!」
「ぶいにゅっ!」
木と木の間を渡り、これ以上崩れないように静かにゴンドラを進めていく。
空はずいぶんと日が暮れてすっかりと暗い。
ずいぶんと時間がたっちゃったなぁ・・
アリシアさん心配してるかも・・
ようやく徐々にアリアカンパニーが見えてきた。
「灯里ちゃん!?」
「アリシアさん・・」
アリア社長が一足先にゴンドラから降りて
アリシアさんに飛びつく。
「あらあら。アリア社長ったら・・」
うふふっとアリシアさんが笑う。
どうやら
ずっと待っていてくれたみたい・・
「すみません。ちょっと道に迷っちゃって・・」
「よかった。心配したのよ?寒かったでしょう?
今暖かいものを用意するわね。」
「ありがとうございます。」
そう頭を下げながらゴンドラをつなげて部屋へと入る。
「はい、どうぞ。」
いすに座り渡されたのは入れたてのコーヒー。
一口飲んで・・
「あったまりますぅ・・」
じわじわと温まっていく体にだいぶ体が冷えていた事を知った。
「あらあら。」
お疲れみたいね、灯里ちゃん。とアリシアが微笑む。
体もだいぶ温まってきて
ふと空を見上げてみる。
もうそこには夜の空しかないけれど。
あのきれいな空の色を思い出し、少し幸せな気分になる。
「灯里ちゃん、何かいいことでもあった?」
「ほへっ?」
「だってすごく楽しそう」
アリシアさんがうふふっと笑う。
気づかないうちにほほが緩んでたみたい。
あの写真のようにこの手で切り取った茜色の星・・
ゆっくりと流れた時間・・
宝石のような・・宝物のような・・
そんな・・・そんなきれいな空・・・
また自然と笑みがこぼれる。
「はひっ!お宝大発見です!」
「ぶいにゅっ!」とアリア社長も。
「あらあら、まぁまぁ!」
驚きながら
「その宝物、すぐにほほが緩んじゃうくらい素敵なものなのね。」
羨ましいわとアリシアさんが言う。
「はひっ!」
それはまだ赤が黒に変わるころ
夕方でも夜でもなくて
紅から夜に変わるその間
―ほんの一瞬の
茜色に光る星の宝物―
end.
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